正直に言うと、タトゥー除去の値段を調べ始めたとき、私は完全になめていました。レーザーでピッと当てて、まあ10万円くらいかな、と。

ところが大手クリニックの公式料金表を開いて、固まりました。そこに並んでいるのは全部「1回あたり」の金額だったんです。これ、地味にデカい話で。

タトゥー除去のピコレーザーは、回数と費用がセットで動きます。1回いくらかを見ても意味がなくて、「何回打つことになるのか」を知らないと総額がまったく読めない。逆に言えば、そこさえ押さえれば怖くありません。

今回は、クリニックの公式料金表と公開されている症例をそのまま突き合わせて、小さい黒タトゥーと手のひら大のカラーで「いくらかかって、どれくらいの期間で終わるのか」を出してみます。

先に結論。回数・費用・期間の目安

細かい話に入る前に、着地点を置いておきます。ここだけ持ち帰ってもらえれば、カウンセリングで話が早いです。

  • 回数:3〜6回が一つの目安。ただし症例によっては2回から15回まで開く
  • 費用:小さめ(1〜5平方センチ)なら1回2万3千円台。5回で11万〜12万円前後
  • 期間:照射の間隔は最低2ヶ月。5回打つなら最短でも8ヶ月かかる

金額の出どころは湘南美容クリニックとTCB東京中央美容外科の公式料金表、回数の目安は岡山中央クリニックと福岡中央美容外科が公開している症例です(いずれも2026年8月14日に確認)。

……ただ、この「3〜6回」という数字、誰にでも当てはまるわけじゃないんです。分かれ目は、色。

なぜ1回で消えないのか

ピコレーザーの「ピコ」は、光を当てる時間の単位です。1兆分の1秒という、想像もつかない短さ。その一瞬の衝撃で、皮膚の奥に居座っているインクの粒を細かく砕きます。

ここからが大事なところ。砕いただけでは消えません。砕けた破片を、体の中の掃除役の細胞が少しずつ運び出していく。この「運び出す」工程に時間がかかるから、次の照射までしっかり間をあける必要があるわけです。

つまり、消えていくスピードを決めているのはレーザーの性能だけじゃなく、自分の体の排出力でもある。だから同じ絵柄でも人によって回数が違う。ここ、メモしておいてください。カウンセリングで「何回で終わりますか」と聞いて即答されなかったとしても、それは不親切なのではなく、正直なだけかもしれません。

岡山中央クリニックの公式サイトも「従来のレーザーよりも治療回数が約半分で済みます(回数は個々の状態によります)」という書き方をしています。断言していないのがむしろ信頼できる。

色で回数が変わる。黒はラク、緑と黄色が難物

調べていて一番「へえ」と声が出たのがここでした。レーザーは色によって反応の良し悪しがはっきり違うんです。

岡山中央クリニックの説明によると、黒・青・赤といった濃いインクは反応しやすい。逆に黄色・緑・紫といった淡い色や特殊な色は、レーザーでは反応しにくいことがある。ピコレーザーは従来機より緑や黄色にも対応しやすくなった、とされています。

面白いのは、この難易度が料金表そのものに出ていること。福岡中央美容外科の公式料金は、墨一色が1mmあたり1,100円、カラーが1mmあたり1,650円。カラーは1.5倍です。値段が「カラーは手間がかかりますよ」と正直に語っている。

なので、自分のタトゥーが「黒一色の小さいもの」なのか「色数の多いもの」なのかで、この記事の後半の金額は倍くらい変わってきます。まずそこを見てから読み進めてください。

クリニックの施術室のイメージ
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大きさ別の1回料金を、大手2院で並べてみた

湘南美容クリニックとTCB東京中央美容外科の公式料金表を、同じ面積区分で横に並べてみました。すべて税込・1回あたりです(2026年8月14日確認)。

  • 1〜5平方センチ:湘南 23,010円/TCB 23,300円
  • 6〜10平方センチ:湘南 33,500円/TCB 33,700円
  • 11〜30平方センチ:湘南 42,260円/TCB 42,800円
  • 31〜50平方センチ:湘南 50,000円/TCB 50,200円
  • 51〜100平方センチ:湘南 55,910円/TCB 56,300円

見ての通り、ほぼ横並びです。数百円しか違わない。ということは「どこが安いか」で消耗するより、通いやすさと医師の説明で選んだほうが精神衛生にいい、という話になります。

もう一つ気づいたことがあって。面積が1〜5から51〜100へ、つまり20倍になっても、値段は2.4倍にしかなっていません。小さいタトゥーほど1平方センチあたりの単価は割高、大きいほど「面積の割には」安い。ワンコイン玉くらいの絵柄でも、思ったほど安く済まないのはこれが理由です。

ちなみにTCBには「初回限定 1平方センチ 1回 8,050円」という枠があります。いきなり全部やる前に、自分の肌とインクがどう反応するかを見る使い方ができる。これは後半でもう一度出てきます。

総額シミュレーションと、料金表に出てこないお金

では実際に総額を出します。湘南美容クリニックの公式価格で、回数は先ほどの「5回」を置いてみます。

  • ケースA・500円玉くらいの黒(3平方センチ)を5回:23,010円 × 5 = 115,050円
  • ケースB・手のひら大のカラー(約100平方センチ)を5回:55,910円 × 5 = 279,550円

ケースAで11万円ちょっと。ケースBで28万円弱。ここまでは料金表を掛け算しただけです。問題はこの先。

料金表に載っていない出費があります。福岡中央美容外科は「処置代・お薬代 別途5,500円」と公式に明記しています。1回ごとにかかるなら、5回で27,500円。麻酔代を別に取る院もありますし、地味に効いてくるのが通院の交通費です。2ヶ月に1回、都心のクリニックへ何度も通うことになる。

そして最大のリスクは、回数が読み違いだったとき。5回のつもりが10回になれば、掛け算の相手が倍になります。ケースBが55万円を超えてくる。ここが、タトゥー除去でいちばん怖いところだと思いました。

だからカウンセリングでは「1回いくら」ではなく「私の場合、終わるまでにいくらの見込みですか」と聞くべきなんです。……ただ、実はお金より重いコストがもう一つあって。

本当にきついのは「期間」のほうだった

照射の間隔です。湘南美容クリニックの公式サイトには「2カ月間の間隔で照射可能」、福岡中央美容外科には「次のレーザー照射は前回の治療から最低でも2ヶ月程期間をあけて頂きます」と書かれています。福岡中央美容外科は「2〜3ヶ月の期間をあけて数回の治療が必要」とも案内しています。

つまり、お金を積んでも縮められません。単純計算するとこうなります。

  • 5回で終わる場合:1回目から5回目まで、最短で約8ヶ月
  • 10回かかる場合:最短でも約1年半
  • 間隔が3ヶ月になれば、同じ回数でも期間は1.5倍

「来年の夏までに」と思っているなら、逆算するとスタートは今年のうち。「温泉旅行までに」なら、もう間に合わない可能性が高い。これは値段の話より先に知っておきたかった、というのが正直な感想です。

私自身はタトゥーを入れていないので除去の当事者ではありません。でも今年40歳になって、これからAGA治療を始めようと準備を進めているところで、同じ「毎月いくら×何ヶ月」という自由診療の世界に足を踏み入れます。終わりが自分で決められない治療の重さは、正直ちょっと身につまされました。

治療スケジュールを立てるイメージ
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ダウンタイム:当日から2週間で何が起きるか

ここは盛らずに正直に書きます。各院の公式サイトの記載を並べます。

  • TCB東京中央美容外科:腫れ・赤み・かゆみは1週間程度
  • 岡山中央クリニック:腫れ・傷跡・赤み等は2週間程度で落ち着いていく
  • 福岡中央美容外科:濃い色は1〜2回目の治療後に水疱ができることがある

生活の制限も院によって違います。岡山中央クリニックは当日から傷を保護しながらシャワー可。福岡中央美容外科はシャワーは翌日から、入浴は2週間控える、術後1週間はアルコールを控える、という案内です。同じ施術でも指示が違うので、ネットの情報より自分が受ける院の紙を信じてください。

共通しているのは、施術部位をテープで保護すること。福岡中央美容外科は「日焼け、摩擦など外的刺激から保護」と目的まで書いています。リスクとしては色素沈着と瘢痕が挙げられていて、経過には個人差があります。気になる変化が出たら自己判断せず、担当医に相談してください。

それと、テープ生活が終わったあとの話。保護期間が明けた肌は乾燥しやすく、テープを貼っていた周りがカサついたりヒリついたりすることがあります。そこで「余計なものが入っていない保湿を1本だけ常備しておく」という備え方があります。私が調べていて手元に置いたのが大洋製薬 ワセリンHGチューブ 60g。中身は白色ワセリンだけで、香料も着色料もなく、60gでワンコイン前後。ドラッグストアの定番です。ただし大前提として、施術部位そのものに何を塗るかは担当医の指示が最優先。軟膏が処方されているならそちらを指示どおりに使ってください。ワセリンが向くのは「成分がシンプルなものを選びたい人」で、あくまで医師からOKが出た段階の乾燥ケアや、テープの周りの肌用と考えるのが安全です。赤みやかゆみが出たら使用をやめて相談を。

切開法とどっちを選ぶ?分かれ目はここ

レーザー以外の選択肢も一応押さえておきましょう。TCB東京中央美容外科の公式料金表には切開法があり、1mmあたり10,200円(税込)。

2cm(20mm)の細長いタトゥーなら、20 × 10,200 = 204,000円。レーザーのケースAより高くつきますが、こちらは基本的に短期で決着します。代わりに、切って縫った線の傷跡が残る。

ざっくり整理すると、こんな分かれ目になります。

  • 小さい・細長い・とにかく早く終わらせたい → 切開法が候補に入る
  • 広い・カラーが多い・線状の傷跡を作りたくない → レーザーが候補
  • どちらも「元通りの肌」を約束するものではない → 期待値を先に合わせておく

ここは体質や部位も絡むので、素人が決めきれる話ではありません。両方を扱っている院で、両方の見立てを聞くのが結局いちばん早いです。

カウンセリングで必ず聞く5つ

無料カウンセリングは、値段を聞く場ではなく「自分の場合の見積もりを作ってもらう場」です。この5つを持っていくと、帰り道の頭がスッキリします。

  • 「私のタトゥーだと、何回くらいが目安になりますか」──色と濃さを実際に見たうえでの見立てを聞く
  • 「途中でやめたら、どんな見え方で残りますか」──予算が尽きたときの着地点を先に知っておく
  • 「料金表以外にかかるお金はありますか」──処置代・薬代・麻酔代の有無をここで確定させる
  • 「次の照射まで何ヶ月あけますか」──2ヶ月か3ヶ月かで、終わる時期が半年ずれる
  • 「色素沈着や傷跡が出たら、どう対応してもらえますか」──アフターへの姿勢が一番出る質問

特に2つ目は聞きにくいけれど効きます。「全部消える前提」で話が進む説明より、「ここまでは薄くなります、ここから先は個人差です」と言ってくれる医師のほうが、私は信用できると思いました。

私ならこう決める

最後に、調べ終わった時点での私の結論を置いておきます。当事者ではないので偉そうには言えませんが、同じ自由診療を始める側の目線として。

まず、いきなり全面積で契約しません。TCBの初回限定1平方センチ 8,050円のような小さい枠があるなら、そこで1回だけ打って、自分のインクと肌がどう反応するかを見ます。1万円弱で「この先20万円か、40万円か」の判断材料が買えるなら安いほうです。

反応が良ければそのまま続ける。鈍ければ、切開法も含めてもう一度相談し直す。そして最初から「1回いくら」ではなく「終わるまでにいくら、何ヶ月」で見積もりを立てる。この3つだけ守れば、たぶん大きくは外しません。

なお、ここに書いた回数はすべて他人の症例で、金額も執筆時点の公式表示です。効果や経過には個人差があり、あなたの場合の答えを出せるのは実際に診た医師だけ。まずは2院くらいカウンセリングを回って、見立てが揃うかどうかを確かめるところからで十分だと思います。