電車で吊り革を持つとき、一瞬ためらったことありませんか。

40歳の私は、最近やっと美容にお金と時間を使い始めました。ヒゲ脱毛も化粧水も試し始めたばかり。AGA治療にいたっては、まだクリニックを比べている段階で、これから始めるところです。

その流れで、後回しにしてきた脇の汗とニオイも調べ始めました。切る手術はさすがに怖い。候補は2つ、ミラドライとボトックス。でも最初の壁が「そもそも自分はどっちの問題なんだ?」でした。

ミラドライとボトックスの前に:わきがと多汗症は別モノでした

私はずっと同じ話だと思っていました。脇には汗腺が2種類あるんです。

エクリン腺は体温調節のサラサラした汗で、ほぼ全身にある。アポクリン腺は脇など限られた場所にあり、脂質を含む汗を出します。これ自体は無臭で、皮膚の菌に分解されて初めてニオイになる。これが「わきが(腋臭症)」。多汗症は、エクリン腺の汗が出すぎる状態です。

つまり悩みが「量」なのか「ニオイ」なのか。これ、地味にデカいんです。ここを分けずに選ぶと丸ごとズレる。そしてこの違いが、次の2つの得意分野に直結します。

ミラドライは、汗腺そのものを熱で止めにいく

ミラドライは、脇の皮膚の上からマイクロ波を当てて汗腺の層を熱で壊す治療です。切らないので傷跡が残らない。失われた汗腺は基本的に元に戻らないとされるので効果が長く続くと期待され、臨床では脇汗がおよそ70〜80%減ったという報告が紹介されています。

調べて初めて知ったのが承認の話。2011年に米国FDAで承認され、日本でも2018年6月に「重度の原発性腋窩多汗症」の治療機器として薬事承認されています。ただし日本の承認は多汗症に対してで、わきが(腋臭症)としては承認されていません。

ダウンタイムは「ほぼなし」と書かれがちですが、腫れや内出血が数日〜1〜2週間出ることも。……じゃあ全部これでいいのでは、と思いますよね。値段を見るまでは。

ボトックスは「汗を出せ」の指令を止める。ただし期限つき

ボトックスは発想が逆。ボツリヌス毒素から作られた製剤を脇に細かく注射し、汗腺へ「汗を出せ」と伝える神経の信号をブロックします。汗腺は壊しません。施術は麻酔を含めて45分ほど。

決定的な違いは、効果が永久ではないこと。持続の目安は4〜9か月(4〜6か月と案内するクリニックも多い)で、切れたら戻ります。再投与は前回から16週以上あける決まりです。

そして得意なのは「汗」。汗が減った分ニオイが軽く感じられても、アポクリン腺は残ります。妊娠中・授乳中の方、筋力が低下する病気のある方、15歳未満は受けられません。……ただ、ボトックスには他にない強みが。お金です。

結局いくら?を正直に

  • ミラドライ:自由診療。1回30〜40万円が中心(全国では20〜40万円の幅)。2回目を勧められると20〜30万円追加で、総額40〜60万円になることも
  • ボトックス(保険適用):3割負担で両脇およそ18,000〜30,000円
  • ボトックス(自費):製剤と単位数によって約28,000〜57,200円

パッと見はボトックスの圧勝。でもここに「4〜9か月で切れる」が乗ります。年2回で自費なら年6〜11万円、5年で30〜55万円。ミラドライ1回分に並びます。短期ならボトックス、長い目ならミラドライ。電卓の勝負です。

ただしこの計算、保険が使えるかで丸ごと崩れます。

クリニックでのカウンセリングをイメージした写真
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保険の条件、ここが分かれ目です

脇のボトックスは2012年から「重度の原発性腋窩多汗症」に保険が使えます。ただし誰でも通るわけではない。原因のはっきりしない過剰な発汗が6か月以上続き、さらに次の6項目のうち2つ以上に当てはまることが必要です。

  • 25歳以下で発症/左右対称に出る/睡眠中は止まる
  • 週1回以上ある/家族に同じ症状の人がいる/日常生活に支障がある

そのうえでHDSSという重症度で3か4(ほとんど我慢できない/我慢できない)と判定されること。ここ、メモしといてください。保険が見ているのは汗の量と生活への支障で、ニオイが気になるだけでは通りません。

ではニオイ側に道はないのか。あります。剪除法という手術で、脇を2〜3cm切開してアポクリン腺を直接取り除く方法。保険点数6,870点で3割負担なら両側約41,200円、総額でも5〜6万円程度が多いようです。ただし傷跡が残り、術後は脇を固定して安静にする期間が必要です。

40歳の私が置いた、選び方の3つの軸

  • 軸1・悩みは汗かニオイか。量ならどちらも土俵に乗る。ニオイ中心ならミラドライか手術寄り
  • 軸2・どのくらいの期間止めたいか。夏やイベント一発ならボトックス。毎年繰り返しているならミラドライ
  • 軸3・保険の条件に当てはまるか。費用が桁で変わるので、先に確かめないと損をする

私の暫定結論はこうです。まず保険診療をやっている皮膚科でHDSSの判定を受ける。「重度」に当てはまらなければ自費のボトックスを1回試し、それでも足りなければミラドライを検討する。ここは盛らずに言いますが、効果の出方には個人差があり、どちらも汗がゼロになると約束するものではありません。

予約を取るまでの間に、私がやることにしたこと

受診して決めるまで数か月はかかりそう。その間なにもしないのはもったいないので、2つ決めました。どの場面でどれくらい汗が出たかをスマホにメモしておくこと。そして市販の制汗デオドラントで足元を固めることです。

選んだのは「デオナチュレ 男ソフトストーンW 20g」。決め手は有効成分が2つ入っていること。焼ミョウバンが汗を抑え、イソプロピルメチルフェノールがニオイの原因菌を殺菌します。汗とニオイの両方に1本で当たれる薬用スティックで、20gで990円ほど。受診を決めきれていない人や、朝に時間をかけたくない人に向くと思います。ただし市販のセルフケアであって、治療の代わりにはなりません。肌に合わないこともあるので赤みやかゆみが出たら中止を。施術後の使用開始時期は自己判断せず担当医に確認を。私もこれから使い始めるので、使用感のレビューはまだ書きません。

制汗デオドラントを使う男性のイメージ
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まとめ

ミラドライは切らずに汗腺そのものを止めにいく方法。日本では2018年に重度の原発性腋窩多汗症の治療機器として承認済みで、費用は1回30〜40万円の自由診療が中心です。ボトックスは持続4〜9か月と期限つきですが、条件を満たせば保険3割でおよそ2〜3万円まで下がります。

分かれ目は3つ。汗かニオイか、期間はどのくらいか、保険の条件に当てはまるか。ここを先に決めておくと、カウンセリングで流されずに済みます。

数字は目安で、効果には個人差があります。気になる症状は自己判断せず、皮膚科や形成外科で相談してください。私はまず診てもらうところから。AGA治療もこれから、脇もこれから。40歳、まだ全部これからです。